少人数で活動~コロナ禍における、鋸南町のボランティアの今

台風15号で鋸南町が甚大な被害を受けてから、8か月。屋根の修理などの復興作業が進んでいるところがある一方で、いまだに雨漏りのしている室内に住み続け、カビの発生などに苦しんでいる人もいます。そんな人々を、支援しているのがボランティアの人たちです。現在、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、東京からボランティアを呼び込めず、十分な支援ができない状況にあります。鋸南町の被災現場で活動する人たちを取材しました。

「経済的理由などで家屋が直せない方たちが意外と多く、1〜2割がそのような状況なのではないか? 復興に進めない人がまだ町にいることを知ってほしい」と鋸南町社会福祉協議会でボランティアセンターの運営支援をする小出一博さんは話します。

小出さんは国際NGO団体「ADRA JAPAN」に所属し、昨年9月15日から鋸南町で被災者支援をしています。主な業務は、住民の相談受付や現場の調査、ボランティアと現場作業のマッチングなどです。

「ADRA JAPAN」の小出一博さん

これまで海外で農業支援をし、東日本大震災で被害にあった宮城県山元町の支援にかかわってきた経験を生かしています。「すでに復興している地域と、復興までの道のりが遠い地域がある。こういった復興格差をなくすために、詳しい話を聞いたり、ボランティアさんたちに協力をお願いしていくのも私たちの仕事です」と話します。

現在、社会福祉協議会にある復興ボランティアセンターに集って活動しているボランティアは、30代と40代が中心で、お互い連携を取りながら活動しています。その一人が、「ピースボート災害支援センター(PBV)」のメンバーである、館山市在住の川村勇太さん。妻の美保子さんと、同じくPBV所属の砂川暁範さんと屋根の雨漏りを防ぐ作業をしています。

「自分自身、台風被害にあい、屋根の施工をするスキルが必要であると感じました。鋸南町で活動していた元屋根職人のもとで技術を習得し、ボランティアを続けています」と話します。「施工が終わると、困っている人が減ったんだと思える。それがうれしい」と美保子さん。雨の日以外、ほぼ毎日、屋根で作業しています。

屋根で作業をする川村美保子さん

同じく屋根作業にあたる植田啓介さんは、特に被害が大きかった岩井袋在住です。「自分が被災し、これは復興に長くかかるな」と直感。「町の復興に少しでも役立ちたい」と災害支援団体「リバイブ」に所属し、活動しています。

県外からのボランティアが徐々に減ってくる中、昨年12月、地元住民が立ち上げたのが「鋸南復興アクセラレーション」という団体です。代表の堀田了誓さんは田町区在住。「鋸南ロータリークラブ有志ボランティアチーム(RCV)」の代表も兼ね、主に室内のカビ除去にあたっています。被災し、近所のゴミ捨ての手伝いや家具や畳を運ぶ作業をしているうち、「部屋にカビが生えて困っている」という住民の声を聞くようになりました。「発災当初はボランティアなんて何をしていいかわからなかった。けれど、自分ができることがあると思い、活動を続けてきました」と話します。

現在、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、地元の人が中心となり、少人数で活動を行っています。「活動を止めることは、より一層多くの命がなくなることにつながる」と堀田さん。「ボランティアは、助け合いの文化を取り戻すことではないか。被災したときは、遠慮なく誰かに頼っていい。辛いときに辛いと言える町になってほしい」と話します。

台風で大きな被害を受けた鋸南町。「まだ、家屋の修理ができていない人をなんとかしてサポートしていきたい。そして町民のみなさんには現場で働くボランティアを理解し、支えてほしい」とボランティアセンターの支援をする小出さんは呼びかけています。(記事執筆=清水多佳子)

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